スモールスタートで始める!データベースいらずのBIダッシュボード構築
はじめに
- この記事の要点:Google Workspaceがあれば、簡易的なBIダッシュボードは構築可能。データの利活用で改善文化を定着しよう
- このような方におすすめ:ダッシュボード化に興味はあるが、本格的なクラウド導入にはコスト面・技術面で踏み切れない方
データ分析はDWHが必須か?
最近のWebマーケティング業界は、データをDWH(データウェアハウス)に出力してダッシュボード化するものだと言われがちです。代表的なDWHにはGoogle BigQuery、Snowflake、Amazon Redshift、Tableauが挙げられますが、いずれもデータ量に応じて従量課金体制を取っています。しかし、中小企業にとってはデータ量が少ない割に費用対効果が低く、SQLの知識などスキル面でも社内に適材がいないパターンがあります。
かといって事業に関わるWebのデータを放置しておくのはもったいない話です。この記事では、最初から巨大なデータ基盤をこしらえる必要はなく、スモールスタートで始める方法をご紹介します。
表計算ツール+連携スクリプトを使う!
企業で活用しているGoogle WorkspaceまたはMicrosoft 365といったクラウドのビジネスプラットフォームがあれば、始められます!
DWHの代わりにクラウド型の表計算ツールを使い、データの受け渡しはプラットフォームで用意されているローコード開発ツールで実装します。BIツールはデータポータルまたはPower BIです。このやり方には、大きく3つのメリットがあります。
1.費用対効果が高い
Google WorkspaceやMicrosoft 365を使える環境があれば、追加のサーバー代やクラウドインフラ費用は実質ゼロです。毎月の請求費用が分からないというクラウド特有の悩みはなくなります。すぐに始められて感覚をつかめるというのはメリットが大きいでしょう。
2.透明性が高い
通常のDWHはデータベースエンジニアの領域であり、エンジニアではない人からすればどのような処理をしているのかが分かりづらい環境にあります。それがこの方式だとGoogle DriveやOneDrive上に実ファイルとしてデータが存在していますし、どんな種類のデータがどの値になっているのかも、ファイルの中身を覗けば一目瞭然です。
3.目標管理の習慣付けに最適
本格的な基盤を作ったとしても、誰もダッシュボードを見ないのでは意味がありません。まずは取れる指標を取ってきて可視化することで、「これって必要?こっちのほうが重要じゃない?」といった議論を重ねる土台となります。そこから徐々にデータドリブンな意思決定の文化が形成できるようになります。
どう動くのか
Google Workspaceで説明しますと、使うのはGAS(Google Apps Script)、スプレッドシート、データポータル(旧Looker Studio)です。
- GAS:外部プラットフォームとの連携APIを経由して、必要な指標の数値を自動で取得します。
- スプレッドシート:GASで取得したデータを貯める場所になります。いわゆるデータマート(ダッシュボードに使うデータのみを抽出した小規模なデータベース)と同等です。
- データポータル:スプレッドシートのデータを読み込み、視覚的に理解しやすい形式に整えます(ダッシュボード化)。
Microsoft 365の場合は、以下の読み替えで代用できます。
- GAS→Power Automate(旧Microsoft Flow)
- スプレッドシート→Excel Online
- データポータル→Power BI
なお、マーケティングツールはGoogleのもののみ(例えばGoogleアナリティクス、Google広告、Google Search Consoleだけ)を利用してる場合、GASもスプレッドシートも不要で、データポータルとGoogleのマーケティングツールがそのままつながります。
スクリプトが書けないなら、AIの出番
GASやPower Automateはスクリプトを書く(プログラミング)スキルが求められます。しかしなくても大丈夫、AIに任せましょう。GoogleならばGemini、MicrosoftならばCopilotに要件を渡せば、かなり精度の高いスクリプトを組んでくれます。弊社においても、要件をしっかりとした整理したうえでAIにスクリプトを組ませて、そのチェックをしてデータ取得を実現しています。
卒業のときが来たら、本格DWHへ
ここで注意点もお伝えします。手軽に始められる反面、「データ量が巨大になると挙動が極端に重くなる」ことが最大の弱点です。また、データベースが誰でもアクセス可能なファイルになっているので、誰かが誤って触っておかしくなるというリスクもあります。
ファイル管理の問題はアクセス制限などの運用でカバーできますが、データ量の問題は厳しいです。目安としては、データポータルの場合、数万〜数十万行を超えるデータになると、表示に何十秒もかかったりエラーが出たりするようになります。こうなるとスプレッドシートは卒業し、いよいよ本格的なDWHに移行するということになります。(なお、弊社では4シート程度で1日1行のデイリー更新のみという設計にしています。1年間でもせいぜい1500行程度ですので、10年程度ならば大丈夫という算段です)
データが溜まりに溜まって困っているという状況は、それだけデータの価値が社内で評価されているということでもあります。TableauやBigQueryといった大手のDWHは、数万行のデータであっても瞬時に処理できるものがほとんどです。
少しずつでOK
データ可視化において、何もないところからいきなり大きなDWHやリッチなBIツールを導入するという選択肢以外にも、スプレッドシートレベルから小さく始めて、データ量が巨大になってきたら本格的なDWHへの移行を検討するというステップがあることをご紹介しました。人材も予算も限られている状況においては、スモールスタートは賢い選択ではないでしょうか。
弊社は、完璧なシステムをいきなり構築することはせず、毎日少しの時間でダッシュボードを確認するという習慣を作って、少しずつ進めることのほうが大切だと考えています。
迷ったらWebマーケティング企業に相談!
概念では分かったけれど、具体的にどう実装していけばいいか分からないという方!
Webマーケティングでスモールビジネスに対応している企業にご相談してみてください。なおエディプレックスは大きなBI環境構築もスモールスタートも両方とも対応できますので、よろしければお声がけください。目標設定や指標の見方からご協力いたします!
